非薬物療法の特徴や介護における取り組み

非薬物療法は文字通り、薬剤を使わない治療を意味します。高齢者の場合、症状が重篤化しやすいことからリスクを避けるために多くの薬剤が処方されることが少なくありません。俗に言う「薬漬け」の状態に陥り、生活に支障をきたすケースもあります。また、薬剤投与には副作用のリスクもあるため、却って体の具合が悪くなる可能性は否定できません。非薬物療法は人の体にある治癒力や免疫機能などを活性化させ、状態の改善を図るのが主な目的です。要介護の高齢者の場合、積極的に運動させることで新陳代謝を活発にし、体調の改善を図ります。そのため、医療機関に限らず介護の現場でも非薬物療法への理解が求められているのです。

要介護の高齢者は自力で動くのが困難なことが多く、介助が欠かせません。介護士が持つ専門知識や技能は要介護者への適切なケアに役立つことから、非薬物療法の質を向上させるのに不可欠な要素と言えます。介護の現場においても、要介護者が健やかに暮らせることを仕事の目標としているので、非薬物療法には積極的に協力する姿勢を持っています。薬剤に頼らない介護は要介護者の体調改善につながるだけでなく、介護を行う側の負担軽減にも繋がります。

要介護者が服用する薬剤の管理を医療の知識に乏しい介護士が行っているのが多くの施設での実状ですが、非薬物療法が広く普及することによって、薬剤の取り違えなど薬剤に関するトラブルを大幅に減らすことが可能です。非薬物療法は要介護の高齢者だけではなく、介護の現場で働く人にとってもメリットが大きいと言えます。